所有権更正登記と農地法

こんにちは。横田です。
はじめての投稿です。

突然ですが、いつも受験時に気になっていた論点がありました。
所有権抹消登記では農地法許可書は不要、真名回復登記で過去の名義にする場合は不要。
では、一部抹消登記 – もとい、所有権移転を一部移転にするような更正登記の場合はどうなるんだろう、と。

無事試験に合格し、そんなことも忘れていたつい先日のことです。
まさに気になっていた点そのままの形で相談を受ける機会がありました。
原因贈与で畑の所有権を移転していたところ、これを持分移転に更正したい、というものです。
私は税金について専門ではありませんが、おそらく更正より真名回復の方が贈与税の往復ビンタのリスクが高いと考えました。
なので、なるべく更正の方向で考えたい…。その場では明言は避けつつそうした方向性のみご説明して、更正の道を探るべく先例を調べました。ところがこれがいくら調べてもこのケースが見当たりません。

困ったなと頭を抱えていると、後に電話が。本件の依頼者の方からです。
本件、贈与者は行政書士の方でした。その方が役所で許可の更正ができるか聞いてくださったようで、
それはできない、許可を取消したうえで改めて届出してくれ、という回答を受けた、とのことでした。
その内容を受けてハッとしました。

所有者をBとして許可を取ること、A及びBとして許可を取ることはまったく別の許可だ、ということなんでしょう。
なにか許可の内容を変えるにしても、事後的にその主体まで変えるような変更は農地法の許可の手続き上は想定されていないんですね。

登記の更正は、登記記録を修正するという発想です。何となくこの考えで許可についても考えていたのですが、
確かに結果的に農地台帳に載るものの、手続きの本旨は許可にあります。
登記の更正が成立する場合でも、同じ内容で許可を更正できるとは限らないんですね。
(真名回復は、形式上登記の目的が所有権の移転になるので、農地法の手続上大丈夫なのかなと整理しています。)

そして、そもそも所有権移転から所有権一部移転にするような許可の更正は通らないのだから、
その許可を前提とした登記の論点は出てくるはずもないんですね。
そりゃあ試験勉強時も、今回調べ尽くしてもその論点が出てこないわけだ…。

結局のところ、本件は所有権抹消→本来やりたかった所有権一部移転登記を申請することで決着しました。

この論点自体についても、また、許可関係と登記の発想の違いにも、
大変勉強になりました。

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